10/12今週の一言

10月12日の聖書のいづみでは、出エジプト記32章1-6節を学びました。いわゆる「金の子牛事件」と呼ばれる物語の冒頭部分です。
シナイ山で律法を授与されているモーセ(次期指導者ヨシュアを同伴)を待ちきれずに、麓にいるイスラエルの民はモーセの兄アロンに「主ではない神々を拝む礼拝」を導入するように要求します。あるいは、弟モーセに対するクーデターを企てたアロンが民に根回しをして上記の要求をさせたのかもしれません。アロンと共に留守番をしていた指導者フル(アロンの姉ミリアムの夫か)が、この場面で一切登場しないことも示唆に富みます。イスラエルの10月12日の聖書のいづみでは、出エジプト記32章1-6節を学びました。いわゆる「金の子牛事件」と呼ばれる物語の冒頭部分です。
シナイ山で律法を授与されているモーセ(次期指導者ヨシュアを同伴)を待ちきれずに、麓にいるイスラエルの民はモーセの兄アロンに「主ではない神々を拝む礼拝」を導入するように要求します。あるいは、弟モーセに対するクーデターを企てたアロンが民に根回しをして上記の要求をさせたのかもしれません。アロンと共に留守番をしていた指導者フル(アロンの姉ミリアムの夫か)が、この場面で一切登場しないことも示唆に富みます。イスラエルの三頭政治(ミリアム・アロン・モーセの姉弟)を担う指導者たちがばらばらになっています。
今までの経緯を考えると、民の言動は支離滅裂です。元々「主(ヤハウェ)」という神の名前すら知らなかったモーセがいなくなったからといって、民が主への礼拝を「金の子牛」を用いて行う理由はありません。アロンが「主の祭」(5節)と言明しているとおり、どう考えても「金の子牛」は主の象徴でしょう。なぜ、「金の子牛」が神々(複数鋳造されたようです)として拝まれなくてはいけないのでしょうか。しかも、民が民に向かって、「イスラエルよ、これこそあなたをエジプトの国から導き上ったあなたの神々だ」(4節)と言うのは、奇妙です。
列王記上12章25-33節は、古代から「金の子牛事件」と関係が深いことが指摘されている箇所です。ダビデ・ソロモンの統一王国から、北の十部族を率いて独立したヤロブアム王の物語です。エルサレム神殿での主に対する礼拝が求心力を持っていることに対抗するために、初代北イスラエル王ヤロブアムは、金の子牛を二体造りました。「あなたたちはもはやエルサレムに上る必要はない。見よ、イスラエルよ、これがあなたをエジプトの国から導き上ったあなたの神々である」(同28節)と言って、彼はこれらをダンとベテルの神殿に安置したのでした。牛は多産・豊穣の神バアルの象徴です。
著作年代順で言えば、列王記が先に書かれ(前7世紀)、出エジプト記を含む五書が後に書かれていることに(前6世紀)注意が必要です。歴史的には確かにモーセとアロン、ミリアムには確執があったのだと思います。しかし、それを南北王国の分裂や、ヤロブアム王の政策に明確に重ね合わせて記述したのは、後世の聖書編纂者の業でしょう。王国の分裂に比する衝撃的な事件と捉えるべきです。
人間の組織を最も弱体化させる要因は内部分裂です。国家であれ、信仰共同体でさえそうです。分断を誘う対立構造に陥らない工夫が必要です。 JK
三頭政治(ミリアム・アロン・モーセの姉弟)を担う指導者たちがばらばらになっています。
今までの経緯を考えると、民の言動は支離滅裂です。元々「主(ヤハウェ)」という神の名前すら知らなかったモーセがいなくなったからといって、民が主への礼拝を「金の子牛」を用いて行う理由はありません。アロンが「主の祭」(5節)と言明しているとおり、どう考えても「金の子牛」は主の象徴でしょう。なぜ、「金の子牛」が神々(複数鋳造されたようです)として拝まれなくてはいけないのでしょうか。しかも、民が民に向かって、「イスラエルよ、これこそあなたをエジプトの国から導き上ったあなたの神々だ」(4節)と言うのは、奇妙です。
列王記上12章25-33節は、古代から「金の子牛事件」と関係が深いことが指摘されている箇所です。ダビデ・ソロモンの統一王国から、北の十部族を率いて独立したヤロブアム王の物語です。エルサレム神殿での主に対する礼拝が求心力を持っていることに対抗するために、初代北イスラエル王ヤロブアムは、金の子牛を二体造りました。「あなたたちはもはやエルサレムに上る必要はない。見よ、イスラエルよ、これがあなたをエジプトの国から導き上ったあなたの神々である」(同28節)と言って、彼はこれらをダンとベテルの神殿に安置したのでした。牛は多産・豊穣の神バアルの象徴です。
著作年代順で言えば、列王記が先に書かれ(前7世紀)、出エジプト記を含む五書が後に書かれていることに(前6世紀)注意が必要です。歴史的には確かにモーセとアロン、ミリアムには確執があったのだと思います。しかし、それを南北王国の分裂や、ヤロブアム王の政策に明確に重ね合わせて記述したのは、後世の聖書編纂者の業でしょう。王国の分裂に比する衝撃的な事件と捉えるべきです。
人間の組織を最も弱体化させる要因は内部分裂です。国家であれ、信仰共同体でさえそうです。分断を誘う対立構造に陥らない工夫が必要です。 JK