2017/06/28今週の一言

 6月28日の「聖書のいづみ」は休会でした。

 最近安倍晋三内閣総理大臣は、「この秋の臨時国会において衆参に設置された憲法審査会に、自由民主党の改憲原案を提出したい」という意思を公表しました。首相の予定に従えば、最速で今年の11月から12月にかけて憲法改正の発議がなされることになります。ここで、憲法改正の手続について確認をしておきましょう。

 「この憲法の改正は、各議院の総議員の三分の二以上の賛成で、国会が、これを発議し、国民に提案してその承認を経なければならない。この承認には、特別の国民投票又は国会の定める選挙の際行はれる投票において、その過半数の賛成を必要とする。」(日本国憲法第96条1項)。

 この憲法の規定に基づいて、「日本国憲法改正手続に関する法律(俗称「国民投票法」)」が制定されました。「国民投票法」の中に、衆参両院に憲法審査会を設置すること、その憲法審査会に改憲原案を提案する権限があることが定められています。また、国民投票に至る手順も規定されています。

 ①衆参の憲法審査会における改憲原案の決議。安倍政権・与党の強引な議事運営を見ると、おそらく全会派の全員一致ではなく、賛成多数を問う採決が行われそうです。決議された改憲原案が本会議に送付されます。

 ②衆参両院本会議における改憲原案の決議。各院で総議員の三分の二の賛成で決議されたものが主権者への「発議」とみなされます。前述のとおり、最速2017年11月から12月にかけてなされる可能性があります。

 ③国民投票日の公示。国民投票をする期日が定められます。それは発議から60日以降であり180日以内でなくてはいけません。最速で2018年2月ごろになります。なお、憲法にあるとおり衆議院総選挙と同時に行う場合もありえます。

 ④国民投票運動期間。60日から180日の間で、改憲原案に対して賛成もしくは反対の勧誘をかなり自由に行うことができます。

⑤国民投票において、有効投票総数の過半数を得た場合、改憲原案のとおり憲法が改正されます。国民投票用紙には、改憲原案に賛成か反対か「○」をつける欄のみがあります。

「国民投票法」には、④と⑤について課題があります。④の国民投票運動が有料広告をも広範囲に認めていることです。テレビの広告を使用しうる資力をもった者がかなり有利になります。また、有効投票総数の過半数で主権者の意思が正確に反映されるのかという課題もあります。この法律の改正が先決です。JK