2019/05/01今週の一言

4/30に前天皇・明仁さんの生前退位があり、5/1に現天皇・徳仁さんの即位がありました。

上記の一文に違和感を持つ人も多いと思います。違和感の最大の理由は呼び方にあることでしょう。なぜ「陛下」を付けないのか、「さん」付けで呼ぶのかということです。

「皇室典範」という法律があります。大日本帝国においては、帝国憲法よりも上位にあった法律です。そして日本国憲法においても唯一明文で言及されている法律です。そこに、皇族に対する敬語の使い方が規定されています。皇室典範23条1項「天皇、皇后、太皇太后及び皇太后の敬称は、陛下とする。」、第2項「前項の皇族以外の皇族の敬称は、殿下とする。」報道機関は法律を守って「陛下」と呼んでいるのでしょうが、「さま」等の敬語表現は行き過ぎの感を否めません。

もう一つの違和感は、名を呼んでいることです。欧米ではファーストネームは名です。しかし東北アジアでのファーストネームは姓です。自然と、日本社会でも苗字で呼ぶことの方が多くなります。名のみを呼ぶことは、親しい間柄でも躊躇する場合がありえます。なぜ「明仁」「徳仁」と名前を呼ぶのかと問われれば、彼らに姓が無いので名前のみがフルネームであるという答えになります。

「戸籍法」という法律があります。日本国籍を持つ者を戸籍によって管理することを定めている法律です。その13条に、「氏名」を記載しなければならないと規定されています。日本国籍を後に取得しようとする者は、出身地で姓を持たない人であっても(たとえばミャンマーやモンゴル出身)、無理矢理にでも氏名を作らなくてはいけないのです。それに対して日本国籍を有しているにもかかわらず、天皇及び皇族は戸籍法の適用を受けません。自らの身分に関する事項を「皇統譜」に登録する唯一の家族です(皇室典範26条)。

皇室典範のいくつかの条文は平等原則を定めた憲法14条に抵触する疑いがあります。敬称を定めることそのものが人の上に人を作っています。また、氏の不使用等さまざまな特権を認めていることもそうです。

「華族その他の貴族の制度は、これを認めない」(憲法14条2項)。皇位が世襲であることは(憲法2条)、貴族制度を禁じている憲法内部の矛盾です。皇室典範がそれを「男系の男子」に限っていることは(皇室典範1条)、その矛盾をさらに押し広げています。性差別が加わっているからです。現憲法の下、皇室典範を改善することも急務ですが、より根本的には憲法から皇室典範についての言及を含め、天皇条項(憲法1-8条)を除く改正も必要です。平等な人にしてあげましょう。JK