2022/08/10今週の一言

「世界基督教統一神霊協会」改め「世界平和統一家庭連合」(以下、「旧統一協会」と略します)と安倍晋三元総理大臣ら政治家との近い関係が報じられています。旧統一協会は特定の政治家(特に自民党安倍派)のための選挙協力をし(10万票の組織票)、その見返りに与党政治家から「箔」をいただくというのです。その構図だけではないと思います。というのもそれでは旧統一協会側の利益が少ないからです。旧統一協会のもう一つの見返りは、自らの主張が政策として実現するというものでしょう。それは「家制度」の強調と、反共産主義です。

2012年の自由民主党による改憲草案は、2005年に策定された「穏健な改憲草案」よりも著しく右旋回したものでした。2012年は安倍晋三氏が自民党総裁に返り咲いた年でもあります。憲法9条を明文改定する「国防軍の創設」などが右傾化の代表例として挙げられます。

旧統一協会の主張と照らし合わせると、天皇を国の象徴から元首に変える1条改憲案、政教分離原則を緩める20条改憲案、両性の平等に変えて家族の相互扶助を規定する24条改憲案も、注目点です。明確な君主制は共産主義と相いれません。また家族を基礎単位とするためには、天皇を国家という家の頂点とすることは好都合です。個人主義から家族主義へ、憲法価値を覆す暴論です。

日本の「政教分離訴訟」は専ら戦前の国家神道への復古を警戒し、神道と結びつきがちな国家を相手取って提訴してきました。その価値は今後も続きます。ただしもう一つ目配りが必要なことは、政教分離原則を緩めることは神道ばかりではなく、旧統一協会をも利するということです。

「嫌韓」を煽っている自民党右派の安倍派が、実は韓国由来の旧統一協会の主張を実現させようとしていたとするなら、何ともはや(マルコ4章22節)。JK