2022/09/21今週の一言

オバデヤ書は1章しかありません。そのため「章」を立てずに「節」だけで区分します。ほんの21節しかない、旧約聖書39巻の中で最も小さな書です。新約聖書でいえばフィレモンへの手紙も同じ体裁です。

オバデヤ書の内容はユダの南隣にあるエドム王国への威嚇です。それにより著作年代づけが簡単です。前587年の南ユダ王国滅亡直後、エドム王国は崩壊したユダ王国の旧領土を侵略しました。預言者オバデヤは、この出来事を間近で見た目撃者でしょう。そこでオバデヤ書の著作年代は前580年代と推論できます。オバデヤは、エレミヤやエゼキエルらと同時代の民族主義的預言者です。エレミヤ書49書14-22章にもオバデヤ書と同趣旨のエドムに対する威嚇の預言が残されています。同時代の息吹が感じられます。

オバデヤ書は創世記25章に始まる「ヤコブ・エサウ双子兄弟物語」とも関係があります。エドムは、ヤコブ(イスラエル)の双子の兄エサウの別名です(創世記25章30節)。オバデヤ書もエドムをエサウと同義語として用いています(オバデヤ6・8・18・19・21節)。つまり創世記25章の故事は、なぜエドムがエサウとも呼ばれるのかの原因を説明しているのです。原因譚と言います。

創世記27章は、双子の兄弟に深刻な葛藤があったことを記しています。この兄弟げんかは、前述のエドム王国が旧ユダ王国領をどさくさに紛れて軍事占領したことの原因譚となっています。

さらに言えば、そもそもなぜ南ユダ王国の南隣にエドム王国があるのかという原因も創世記は説明しています。「なぜならヤコブとエサウが双子の兄弟だったから」。このようにユダヤ人たちは子どもたちに伝承していったのです。創世記33章はヤコブとエサウの仲直りを報じ、同36章は神がエサウの子孫をも祝福したことを伝えています。創世記はオバデヤ書の民族主義を修正しています。JK