3/14卒業式のお話 ヨハネによる福音書15章12節

ヨハネによる福音書15章12節

卒業生のみなさん、保護者のみなさん、ご卒業おめでとうございます。

聖書を開くとイエスさまのお話が飛び出てきます。卒業生のみなさんが今覚えて読んでくださった聖書の箇所は、イエスさまがお友だちとお別れするときに言った言葉です。「互いに愛し合いなさい」。どういうことか分かりますか。今日は、みなさんとのお別れにあたって、この言葉について分かるように説明いたします。

互いに愛し合うということは、お互いに大切にし合うということです。大切にすること・大切にされることです。これでも説明が足りません。大切にするとはどういうことなのでしょうか。

わたしは「すべての人を好きになりなさい」とは言いません。そんなことは無理です。好きな人、嫌いな人がいてもかまいません。それでも大切にすることはできます。大切にするということは、正しい距離を取ることです。みなさんは今、椅子に並んで座っています。これがお隣との正しい距離です。「近すぎず、遠すぎず」です。

どんなに嫌いな人にもしてはいけないことがあります。「もっと遠くへ行け」と言ってはいけません。どんなに仲の良い友だちにもしてはいけないことがあります。近づきすぎてはいけません。「好きだからこれぐらいのひどい言葉を言える」ということはありません。これがお互いに大切にし合うということです。

みなさんは大切にし合うために生まれました(難しい言葉で「全ての人は生まれながらにして人権を持っている」と言います)。そしていづみ幼稚園で大切にし合うことを身につけました。名栗保育で協力してカレーを作ったのも、山登りで列をつくって共に歩いたのも、雪の保育で一緒にかまくらを作ったのも、みんなこの「互いに大切にする」ということを身につけるためのものでした。どんな人とも肩を組むけれども、正しい距離を保つ、そして楽しく過ごすのです。

小学校に上がっても、大人になっても、いろいろな人が身の回りにいます。すべての人を好きになる必要はありません。正しい距離を取って、人生を生き抜いてください。みなさんにはそれができます。