7/20今週の一言

「聖書のいづみ」は夏休みに入りました。

東京都知事選がたけなわです。有権者数が1,000万人を超え、「日本最大の小選挙区」と揶揄される地方自治体首長選挙は、膨大な「死票」が生まれる仕組みです。たった一人しか選出されないために、その他の候補者に投じた票は何らの影響力も持ちません。国政の小選挙区においても、日本では比較多数を獲得すれば当選します。過半数の有権者の支持無しに、代表として選任されているということになります。仮に400万票を獲得して「大勝」したとしても、です。

主権を持つ「国民」(憲法10条)にも及ばず、その地域に住む「住民」(憲法93条2項)にも及ばない、より狭いくくりの「有権者」の過半数にも及ばない人が、なぜその地域の代表たりえるのか。おそらくは小学校の学級委員長を選ぶときからの「多数決」が身にしみ込んでいるので、比較多数に何の問題性も感じないのでしょう。

比較多数の一つの問題は、「選ばれてほしくない順位が1位の人でさえも、1位で選ばれる可能性がある」ことにあります。特に、票割れという現象が起こるときに、問題性が露見します。票割れを恐れる少数派は、妥協を強いられながら「選挙協力」「勝てる候補への一本化」に奔走せざるをえなくなります。しかしそもそもの比較多数1位で当選というルールこそが問われるべきでしょう。

なってほしいという数よりも、なってほしくない数が多いかもしれない候補者が、その地域の代表にふさわしいのでしょうか。

決選投票の導入は一つの解決策です。いずれの候補者も過半数に達しない場合、上位2名による二回目の投票を行うという仕組みです。有権者は二回自分の意思を示すことができるので、死票となってもある程度納得をします。この「納得の調達」も民主制の一つの特徴です。ただし、お金と時間がかかるという短所があります。

もう一つの解決策は選好順位投票です。候補者に順位を付けて一票を投じるのです。①上位数名に得点を付ける方法や、②「移譲式」という方法もあります。①の場合は、自分の選びたい人の1位に3点、2位に2点、3位に1点などと付けて、合計点数の高い人が選ばれます。一票制かつわかりやすい。ただし、なってほしくない順位までは反映されません。一人三票制なども似ています。

②は、全候補者に順位を付けて一票を投じます。全候補者が過半数に達しない場合、最下位者を落選とし、その票を分解します。最下位の候補者に投じた人が、誰に2位とつけているかを調べ、分解して他の候補者に移譲し、票を足し加えるのです。これを誰かが過半数を獲得するまで続けます。こうすれば一票制でも、死票を最小化し、なってほしくない順位1位の人が当選する矛盾は回避できます。 JK