【4章】
3 そして彼はその贖う者に言いました。「私たちの兄弟に属する、エリメレクに属する、その畑の一部を、モアブの地から戻っているナオミは売りました。
4 そして私、私こそが言うのです。私は以下に言うこと(を)貴男の耳(に)明らかにします。(すなわち)もし貴男が確かに贖うならば、貴男はその住民たちの前で、また私の民の長老たちの前で買いなさい。そして/しかしもし彼が贖わないならば、貴男は私に告げなさい。そして私は貴男以外には贖うための者がいないということを知っています。そして私は貴男の後(です)。」そして彼は言いました。「私、私こそが贖います。」
モアブに行く前なのだと推測されますが、ナオミ(または夫エリメレク)は所有地を売っていました。その資金をもとに家族中でベツレヘムからモアブへと移住したのでしょう。ボアズはナオミの土地を買い戻す(=「贖う」)責任と権限が最も大きい親戚(=「その贖う者」)と交渉をします(レビ記25章25節参照)。
「私、私こそが言うのです」というボアズの言葉と、「私、私こそが贖います」という贖う者の言葉は、構文的に同じ強調文です。公の交渉や協議の時に用いられる確言の定式なのでしょう。ただしボアズは完了視座で語り、相手方は未完了視座で語っているので、ボアズの語調の方が強いものです。
「私の民の長老たち」という言い方は、ボアズがベツレヘムの町で権力を握っていることを伺わせます。ボアズは自分贔屓の十人の長老たちを選任したのでしょう。
交渉の相手方をボアズはただ一度だけ「彼」と呼びます。面と向かっている相手には「貴男」と言うべきですから不自然です。「彼」は「その贖う者」の言い換えです。ボアズは相手方の贖う者としての責任を強調し、「私、私こそが贖います」という言葉を引き出そうとしています。あえて相手に全力を出させています。JK