12月12日はエレミヤ書25章1-14節を学びました。
預言は未来についての予言という意味合いよりも、現在/近未来の状況についての神からの伝言(預かった言葉)という意味合いが強いものです。預言は前八世紀から積み重なっていき巻物として保存されました。エレミヤの時代、いくつかの預言書の巻物と、申命記的歴史の原型となるものが文書としてありました。しかしまだ「正典」(神の言葉として崇められる経典)とはなっていません。
前604年のことです。エレミヤは先輩の預言者たちの伝統を引き継いで今までの歴史を総括し、今すぐに起こる事態を語りました。「神の僕である預言者たちの警告に聞き従わずに、他の神々に従い、悪の道・悪事を行い続けた南ユダ王国は今度こそ滅びる、新バビロニア帝国によって軍事占領され、長期間支配される、今や神はバビロンの王ネブカドレツァルを自らの僕として用いる」。
この後の歴史はほぼエレミヤの語った通りに進みます。前601年にヨヤキム王はバビロンに臣従します。彼は国内民族主義の煽りから前598年にバビロンに反旗を翻しその懲罰として廃位させられます。その三か月後には次のヨヤキン王も反乱を起こし、さらなる大軍によって軍事占領され、貴族たちは強制連行させられます(第一次バビロン捕囚)。ちなみに預言者エゼキエルはこの第一次バビロン捕囚の際に、捕囚民の一人としてバビロンに連行されたのでした。
預言者たちの警告を聞かない国家の悲惨を思います。それは憲法が公布・施行されてからこのかた一貫して立法・行政・司法が解釈改憲を施して、憲法9条を骨抜きにしてきた日本という国の姿に重なるものです。
たとえば司法は自衛隊や米軍基地の存在について憲法判断を示さず黙認してきました。行政は自衛隊を自衛のための最低限度の実力と解釈して合憲としました。また日米安全保障条約を締結し米軍を治外法権としました。国会は自衛隊法・PKO協力法・イラク特措法・防衛省への格上げなどの立法行為によって自衛隊の組織・活動範囲を広げてきました。国家安全保障会議設置、特定秘密保護法もこの流れにあります。武器輸出三原則緩和、集団的自衛権行使認容によって、憲法9条は完全に死文化します。今までの良心的な警告はことごとく無視され迫害されてきました。それでも諦めずに警告し続けなくてはいけません。(JK)