今週の一言 2013年4月25日

 4/25の祈り会ではアモス書7章10-17節を学びました。

 預言者アモスの活動はバプテストというものを考えさせる材料になります。それは二つの点においてです。一つは政教分離原則との関係、もう一つは自由ということがらです。

 アモスは北イスラエル王国の心臓部であるベテルという町で王国批判をくりひろげ、祭司アマツヤと対峙します。その場所は「王の聖所」「王国の神殿(直訳:家)」とも呼ばれます。ベテルには北王国創立時から「金の子牛」が設置され、それを拝む国家祭儀が営まれていました。政教一致した社会だったのです。

 靖国神社の春季例大祭に168名の国会議員が集団公式参拝をしました。また安倍首相は真榊を献納しています。このことは平和外交を損なうという外部の問題だけではなく、国内法違反という内部の問題でもあります。すなわち憲法20条・89条に規定されている政教分離原則違反(国の特定宗教への援助促進の禁止)、そして公務員の憲法尊重義務違反です(99条)。バプテスト教会は発生の当時から政教分離原則を訴えています。政教一致した国は少数者の信教の自由を抑圧しやすいからです。

 アモスは職業的預言者ではありません。当時、職業的預言者は王朝のシンクタンクとなったり、また逆にクーデターさえも引き起こすことができる政治的力を持っていたりしました。預言者を養成する機関もあり、有名なエリシャという預言者はそのような職業的預言者の典型例です。

エリシャと異なりアモスには別の職業(酪農業・国際貿易業)があります。国家を含め誰からも給料をもらっていません。そこにアモスの自由な精神と行動の源泉があります。ちょうどパウロが「天幕づくり」という別の職業を持っていたことと似ています。あるいは初代バプテストの教役者たちが、英国国教会の司祭であることをやめ、国家公務員であることをやめたことや、教会の群れの中から別の職業を持ちつつ牧師として擁立されたこととも似ています。

アモスは政教一致した国家から抑圧されベテルから南ユダ王国へと追放され、その後に現在のアモス書の原型をまとめたと言われます。南王国で発表されたアモス書に触発され、北王国出身でありかつ北王国で活動した預言者が首都サマリアに登場します。預言者ホセアです。(JK)