10/25の「聖書のいづみ」は、サムエル記上2章31-34節を学びました。この箇所は祭司の一族であるエリ家の未来を預言しています。以下の聖句を見ると、一族の栄枯盛衰の様が分かります(サムエル記上4章11―22節、同14章3節、同22章11―23節、列王記上2章12―27節)。整理すると次のような系図です。
【エリの系図】
エリ―ホフニ(息子)
ピネハス(息子)―イカボド(孫)
アヒトブ(孫)―アヒヤ(曾孫)
アヒメレク(曾孫)―アビアタル(玄孫)・・・預言者エレミヤ
ホフニとピネハス、イカボドとアヒトブ、アヒヤとアヒメレクは、それぞれ兄弟であり、弟が次の時代に継承されていることが分かります。神は小さい者を選ぶのです。「弟妹優先の原則」がここにあります。
34節は、エリが二人の息子を同じ日に失うことについての預言です。それはペリシテ人との戦争によって実際に起こりました。その報を受けてエリ自身も死に、また同時に、息子ピネハスの妻は孫イカボドを生みます(4章)。
シロの祭司・統治者エリ家の没落は、サムエルの隆盛を引き起こします(35節)。明記されていませんが、エリの一族はノブという町に逃れ、そこで祭司の一族として持ち直していたようです。その間、サムエルがイスラエルの統治者となります(7章6・15-17節)。
その後エリ一族は、サムエルが油を注いで王に任命したサウルとダビデの政争に巻き込まれます。ダビデをかくまった咎で、エリの曾孫アヒメレク以下85名の祭司と、住民たちが虐殺されたのです(22章11-23節)。ただ一人アビアタルだけが生き残り、ダビデのもとに逃れます。33節は、この出来事の預言です。
玄孫アビアタルは立身出世を果たし、ダビデ王朝を支える二つの祭司一族の一翼を担います(サムエル記下8章17節)。しかし、ダビデの死後ソロモンが王位に就くと失脚し、出身地アナトトという寒村に蟄居させられます。「こうして主がシロでエリの家についてお告げになったことが実現した」(列王記上2章27節)。
ダビデ王朝の滅亡を預言したエレミヤはアナトトの出身であり祭司の家系でした(エレミヤ書1章1節)。エリの子孫であるかもしれません。
今起こっている華々しい政局を劇場を観戦するように面白がるのではなく、その水面下で密かに進む神の計画に思いを馳せたいものです。 JK