9/11の聖書のいづみでは、フィリピの信徒への手紙2章19-21節を学びました。以下に直訳風私訳を記します。
19 さて、わたしは主イエスにあってテモテをあなたたちにすぐに遣わすことを望んでいる。その結果、あなたたちを巡ることごとを知るので、わたしもまた精神が良くなるだろう。
20 というのも、わたしは誰も彼と同じ精神の人を持っていないからだ。そして彼はあなたたちを巡ることごとを相応しく心配してくれるだろう。
21 というのも、すべての者たちは、キリスト・イエスのことごとではなく、自分のことごとを追求しているからだ。
テモテはパウロの愛弟子です。テモテの母親はユダヤ人、父親はギリシャ人、パウロと同じキリキア州出身です(小アジア半島の内陸部リストラという町)。使徒言行録16章を読むと、彼はフィリピ教会の最初期から関わっています。パウロたちがフィリピに赴く直前から、テモテは一行に加わっているからです。
テモテは、フィリピの信徒への手紙の共同差出人でもあります(1章1節)。ここから、テモテが手紙の口述筆記をしたとか、手紙を届けたとかの推測がなされます。いずれにせよテモテを唯一無比の人物として、パウロが信頼していたことは間違いありません。
「精神が良くなる」「同じ精神の」という言葉は新約聖書中ここにしか用いられません。また「精神」(ギリシャ語プシュケー)は、ヘブライ語ネフェシュにまで遡りえます。その意味は「全存在」です。テモテがパウロの代理となりうる特別な存在だということを示します。
テモテは「フィリピ教会員を巡ることごと」を現地で聞き取り、パウロに知らせるだけではなく、それらの具体的なことごとを気にかけ、一人ひとりを世話し、課題を現地で解決していきます。そのことが期待されパウロから派遣されるのです。
隣人をめぐるあれこれの事柄を気にかけ、隣人の世話をすることが、イエス・キリストのことごとを追求することと重なります。この意味でキリストを求める道は、一生涯続きます。バプテスマを受けた後でも、自分の利得ばかりを考え、利潤を追求してしまう習性は終生変わりません。毎週の礼拝で微修正を繰り返さなくてはならないゆえんです。
2001年9月11日は、「報復の連鎖」という負の遺産の継続・加速を決定づけました。アフガニスタンを巡ることごとに思いを馳せます。 JK