以下は幼稚園の「父母の会礼拝」でのお話です。
「勇気を出しなさい。」ヨハネによる福音書16章33節
今日の聖書は7月の暗唱聖句です。
「最後の晩餐」については絵画でよく知られています。イエスが十字架で処刑される前日の晩御飯(十二弟子と一緒の食事)をテーマにしたレオナルド・ダビンチの絵です。福音書というのはイエスの伝記ですが聖書には四つもあります。四つが重複しているのですがそれぞれに特徴があります。ヨハネによる福音書の最後の晩餐には、イエスの長い演説があります。「告別説教」とも呼ばれる長い遺言の言葉です。今日の箇所は遺言のしめくくりの一節です。
人は死ぬ前に今まで大切にしてきたことを言い残すものです。イエスは弟子たちに大切な最後の言葉を告げます。それが「勇気を出しなさい」です。「勇気を出しなさい」という励ましは、イエスの生き様を示しています。一歩踏み出す勇気を持つことは多くの人にとって難しいことがらです。しかし人生はそのような勇気なしに完遂することはできません。無数の小さな勇気を出すことで、毎日の生活が成り立っているからです。
力奪われている人を力づけ励ますことを、英語でEmpowermentと言います。それは「勇気を出しなさい」という励ましの言葉と一脈通じます。
保育の現場でも、仲間を応援することを奨励しています。ただし個人的反省として一本調子に「頑張れ、頑張れ」と声をかけがちなことがあります。もっと多様な励まし方や応援の仕方があるはずです。その人の存在を下から支える言葉や後ろから見守る態度。その人の行為を横から助ける言葉や背中を見せる行動。いずれにせよさまざまな力づける声かけを行いたいものです。それはEmpowermentの一環です。
新しいことがらに挑戦する子どもたちに向かって「勇気を出しなさい」ということは、そのような言葉の一つになりえると思います。