バルナバが最初に登場したのは使徒言行録4章36節です。彼の名前はおそらく「ネボの子ヨセフ」。キプロス島出身の離散ユダヤ人でありレビ部族です。母親がユダヤ人、父親がキプロス人だったかもしれません。バルナバは、ペトロとヨハネが最高法院での取り調べを受けた後にキリスト者となっています。彼はユダヤ民族主義者の多いエルサレム教会の中の少数派で、諸民族と共に教会をかたちづくることに賛成でした。
パウロが最初に登場したのは7章58節です。彼の名前は生まれつき二つあり、ヘブライ語名サウル（シャウル）、ギリシャ語名パウロ（パウロス）です。小アジア半島タルソス出身の離散ユダヤ人でありベニヤミン部族です（9章11節、フィリピ3章5節）。ステファノが最高法院で取り調べを受け殉教した後にファリサイ派からキリスト者となっています。彼は国際派ステファノを殺すことに賛成していた「右翼青年」です。当初キリスト教会を迫害していたころもあり、パウロはエルサレム教会で信用されていませんでした。
バルナバがパウロをエルサレム教会の重鎮たちに紹介し、ユダヤ教正統に命をつけねらわれていたパウロをタルソスまで逃がしたのです（9章26-30節）。バルナバはパウロの命の恩人です。生命を救われたパウロは故郷タルソスで家業を継ぎますが教会からは離れます。使命を失ってくすぶります。
その後、国際派の一大拠点となるアンティオキア教会に派遣されたバルナバは、パウロのことを思い出します。彼はタルソスまで行ってパウロを探し出し召し出します（11章25-26節）。「あなたのギリシャ語と、旧約聖書を解釈する力が必要だ」と口説き落としたのです。使命が生命を輝かせます。
バルナバの使命・幻は故郷キプロス島での福音宣教です。こうして第一次キプロス宣教がバルナバとパウロ（とマルコ）によってなされます（13章）。ＪK
