2022/07/06今週の一言

参議院議員選挙の投開票が7月10日に行われます。今さら言うことでもありませんが、日本の国会は二院制を採っています。衆議院と参議院です。法律案についてどちらの院からも発議できますが、必ず二つの院で可決されなければ実際の法律とはなりません。「衆議院の優越」という原則はあります。しかし世界的に見ると、日本の参議院は比較的「強い第二院」です。

日本の参議院議員は公の選挙で有権者から直接選ばれます(直接選挙)。民主的正統性という点で、衆議院議員と同等の強い基盤を持っています。しかし直接選挙は決して当たり前ではありません。身分制や、間接選挙(第一院議員が選ぶ等)を、第二院議員選出に用いている国もあるからです。

実務的にも日本の参議院は強い権限を持っています。参議院で可決しない法案はほとんど審議未了廃案に追い込まれるからです。それゆえに本来は望ましくない「政党化現象」「多数派形成」「政局との共振」が参議院にも起こっています。衆議院とは別の角度から法律案を吟味することこそが参議院の存在意義でありましょう。参議院は「衆議院のカーボンコピー」であってはならないはずです。政党の方針ではなく、議員個人の良識や専門知識に従った判断が認められるような「良識の府」となってもらいたいものです。

選挙制度もカーボンコピー化に拍車をかけています。参議院の選挙制度は、全国一区の比例代表制と選挙区選挙(1人区から6人区まで)の組み合わせです。衆院の選挙制度は、ブロックごとの比例代表制と選挙区選挙(1人区のみ)の組み合わせです。どちらにおいても有権者は二票を政党と個人とに投じます。そっくりな仕組みは、有権者の投票行動もそっくりにさせます。

投票/立候補の権利が奪われている人が形式的にも実質的にも多くいます。その人たちと共に、二院制のあり方や選挙制度について考えたいと思います。JK