【ルツ記1章】
10 一訳
そして彼女たちは彼女のために/に、「貴女と一緒に貴女の民のために/に私たちは戻ります/立ち帰ります」と言いました。
10 二訳
そして彼女たちは彼女のために/に言いました。「実際に、貴女と一緒に貴女の民のために/に私たちは戻ります/立ち帰ります」。
11 そしてナオミは言いました。「貴女たちは戻りなさい/立ち帰りなさい、私の娘たちよ。なぜ私と共に行く/歩む/暮らすのですか。まだ私に属する/私のために息子たちが私の子宮の中に(いて)、そして彼らが貴男たちのために男性たち/夫たちになるのですか。
10節は「キー」という単語の訳し方によって構文が変わり、大まかに二種類の翻訳がありえます。キーを従属接続詞「~ということを」ととるか(一訳の立場)、副詞「実際に」ととるか(二訳の立場)が分かれ道です。11節のナオミの発言の前に「~ということを」が無いので、二訳の方が良いかもしれません。
二訳の立場をとると、オルパとルツの決意の程度が強まることになります。「必ずあなたと一緒にベツレヘムまで行く」という覚悟です。モアブ人であるにもかかわらず、ナオミへの敬愛の念から「あなたの民に戻る」とまで言い切ります。
ナオミは「戻りなさい」と優しく勧めます。しかし「モアブに戻れ」と明示していません。二人がベツレヘム/モアブのどちらを選んでも「戻る」ことになりえます。ナオミの発言は、亡夫の兄弟との結婚が義務付けられていたことを前提にしています(申命記25章5節)。「法的縛りもないのだから外国人姑と共に生きることはない」というナオミの気遣いは、逆に法の重要性も意識させます。JK