19 そして彼女たち二人は彼女たちの来るべきベツレヘムまで行きました。そして彼女たちがベツレヘムに来た時に以下のことが起こりました。すなわち、彼女たちについてその町の全てが騒ぎ合いました。そして彼女たちは言いました。「これはナオミですか。」
20 そして彼女は彼女たちに向かって言いました。「貴女たちは私をナオミと呼ばないでください。貴女たちは私をマラと呼んでください。なぜならシャダイが私を非常に苦しめたからです。
飢饉のためにベツレヘムからモアブに移住したナオミは、再びベツレヘムに戻ってきました。10年ぶりの帰国です。ナオミの連れは、夫・二人の息子という三人から、息子の妻一人に代わりました。ルツにとってはモアブからの移住です。
ルツ記は女性たちの物語です。His-story(支配的男性の歴史history)ではなく、Her-storiesです。ナオミの帰還は町全体の騒動を巻き起こしたと言われる一方で、実際にはベツレヘム住民のうち女性たちのみがナオミに声をかけています。19・20節「彼女たち」「貴女たち」は男性を含んでいない表現です。赤貧となったナオミのやつれ果てた姿に旧知の女性たちは共感しながら驚いています。これがナオミか。
ナオミという名前には「快い」という意味があります。ナオミは皮肉と嘆息を込めて「マラ(苦い)と呼ぶように」と友人に言います。「シャダイ(語義不詳)が自分に人生の苦みを与えたのだから」とナオミは神に責任を帰します。ヨブもしばしば神をシャダイと呼んでいます。語源的にシャダイは「野/畑(サデー)の神」とも「乳房(シャド)の神」とも推測されています。モアブの野から来た女性がボアズの畑で経験する出来事が、女性たちを養い新しい歴史を生み出していきます。JK