【ルツ記2章】
1 そして/しかしナオミのために、彼女の夫に属する知人、強い男性、エリメレクの氏族からの有能な/裕福な人物が(いました)。そして彼の名前はボアズ。
2 そしてモアブ人ルツはナオミに向かって言いました。「ぜひ私はその畑に行きたいです。そして私は麦の穂を拾いたいです。私が彼の目の中に恵みを見出す人の後ろで。」そして彼女は彼女に言いました。「貴女は行きなさい。私の娘よ。」
2章の開始と共に物語は急展開します。その点を重視するならば1節冒頭の接続詞〔ウェ〕を、逆接と捉えて「しかし」と強めに訳出することもできるでしょう。ナオミの苦いばかりの人生がここから大逆転を遂げるのです。正に「ナオミのために」「有能な/裕福な」〔ハイル〕ボアズという男性が与えられています。このハイルという単語は後にルツのためにも用いられます(3章11節)。
ベツレヘム到着後に、モアブ人ルツはレビ記19章9-10節にある規定を知ったのだと思います。そこには「寄留者と貧しい者が、収穫の刈残しである落穂を拾って自分のものとすることができる」という人道的な法律条文があります。ルツは、寄留者かつ貧しい者です。
そこでモアブの野〔サデー〕から来たルツは、「畑〔サデー〕」に行こうとします(2節)。「AがBの目の中に恵み〔ヘン〕を見出す」は、「BがAに厚意を示す」という意味の熟語です。「大麦を刈る労働者の中で、あえて穂を落として自分に拾わせてくれる奇特な人を、その人の目を覗き込んででも探すのだ」という決意が表れています。とにかくその日の命をつなぐため、モアブ人寄留者であるということをも武器にして、ルツが立ち上がります。それに対してナオミは無気力です。「自分も行こう」と言いません。二人の命運はルツにかかります。JK