2023/04/12今週の一言

5 そして彼女〔ルツ〕は彼女〔ナオミ〕に対して言いました。「貴女が言っている全て(を)私は行います。」 6 そして彼女〔ルツ〕は打穀場に降りました。そして彼女は、彼女の義母が命じた全てのとおり行いました。 7 そしてボアズは食べました。そして彼は飲みました。そして彼の心は良くなりました。そして彼は麦の山の端で寝るために来ました。そして彼女は秘密のうちに来ました。そして彼女は彼の足元(を)露わにしました。そして彼女は寝ました。

 義母ナオミの強い要請を受けて、ルツはその通りに行動することを約します。ただし、ナオミの口調よりもやや弱い口調で返事をしています。「言っている」「行います」(5節)は、いずれも未完了視座で語られています。ナオミは完了視座を使って断言口調で矢継ぎ早に指示し続けましたが、ルツはふわりとそれを包みます。未完了視座は、「~すべきだ」「~したい」から「~するかもしれない」まで、どのようにも翻訳することができる曖昧な言い方です。「あなたが言ったかもしれない言葉のように、わたしは行うかもしれない」とも訳せるし、「あなたが当然言うべき言葉通りに、私は必ず行いたい」とも訳せます。読者の「ルツ像」、読者の「ナオミとルツの関係性把握」に全ては委ねられています。なお物語の語り手はナオミの発言を「命令」と理解しています(6節)。

ボアズは二人の会話を知ってか知らずか打穀場で仕事をし、そのまま飲食をします。「彼の心は良くなりました」は何を意味するのでしょうか。ほろ酔い気分になったということでしょうか。勤労の結果として爽やかな気持ちになったということでしょうか。「快い」=「心良い」の内容に思い巡らすことができます。

「麦の山」とあるように、ボアズの職場は麦の刈り入れという繁忙期に必ず寝床が仕事場にできます。彼がこの季節に一人で残業し仕事場で寝ることは親戚も労働者たちも知っていたのでしょう。そのボアズの足元を露わにし、スカート状の衣の裾にルツが潜り込みます。JK