2024/10/30今週の一言

今回はルツというモアブ人女性です。モアブはイスラエルから見て死海を挟んだ右隣の国です。

 イスラエルに飢饉が起こった時、ユダ部族の一家がベツレヘムからモアブの地に避難してきました。エリメレク・ナオミ夫妻と、その息子たちマフロンとキルヨンの四人家族です。エリメレクの死後、ナオミはモアブの地に留まることを決め、息子たちはモアブの地で成人し、モアブ人女性とそれぞれ結婚しました。

 ルツはキルヨンと結婚し、ナオミの家に入って同居をしたようです。マフロンの妻オルパも同様です。ところが夫キルヨンも、また夫の兄のマフロンも短い期間で死んでしまいました。女性が職業を持つことが稀少だった古代西アジア社会のことです。三人の女性はたちまち生活に困窮します。

 ナオミは責任を感じてベツレヘムに帰ることとしました。ルツやオルパを自由にするためです。オルパはモアブの地に残りますが、ルツはナオミと共にベツレヘムに行きます。稀有な行動です。わざわざ外国に移住する必要がないからです。ルツは民族主義から解放された自由な人です。「あなたの民はわたしの民」。

 ベツレヘムでの女性二人の生活は赤貧そのものです。ルツは落穂拾いを始めます。少しの麦の穂のおこぼれでも生きるために必要。ルツは懸命に働きます。農場主ボアズは、モアブ人ルツのことを噂で聞いていました。エリメレクの親戚だったからです。彼はわざと多くの落穂がルツの前に落ちるようにしました。

 ルツに対するボアズの好意をかぎとったナオミは、エリメレク家の家名をボアズによって存続させる策を練ります。ボアズに対する求婚をルツにさせるのです。ルツはナオミの命令に従います。それしか古代西アジア社会で、二人暮らしの女性たちが生き残る道は無いと知っていたからです。ルツはナオミへの隣人愛を貫きました。このモアブ人ルツがダビデ王の曾祖母です。 JK