2025/01/15今週の一言

今回はエサウという男性。イサクとリベカ夫妻の長男、エドム人の始祖です。エサウにはヤコブという双子の弟がいます。こちらはイスラエル人の始祖です。

エサウは、聖書には珍しく外貌が描かれている人物です。生まれつき肌が赤く体毛が濃かったというのです(創25:25)。長じてエサウは狩りも料理も上手な人となりました(25:7、27:31)。そのため彼は肉料理を好む父イサクから愛されました。内面はどうでしょうか。闘争心をむき出しにする弟ヤコブに比べて、エサウは穏やかであり鷹揚な性格の持ち主のように思えます。

「エサウは長子の権利を軽んじ」(25:34)、一回の食事と長子の権利を交換してヤコブに譲渡します。読みようによっては家父長制そのものを軽蔑したとも採れる態度です。このような態度はエサウがヘト人と国際結婚することとも関係するかもしれません(26:24、28:6以下も参照)。「家」は重要ではないのです。

エサウは、母リベカと弟ヤコブに騙されます。しかもそれは、エサウの身体的特徴や、父イサクの視力障碍を利用した、卑劣な詐欺行為でした。こうして、エサウは父イサクからの祝福を受けそこないました(27章)。寛容なエサウも流石にこの仕打ちには憤り、ヤコブを恨みます。その結果ヤコブは母の実家へと出奔し、エサウは老両親を世話します。リベカはこの間に死んだのでしょう。

20年ほどが経った後ヤコブが帰って来て、双子の兄弟は久しぶりの再会を果たしました。その時、エサウはヤコブを大いなる寛容さで赦しています(33:4)。感動の再会場面は、放蕩息子の譬え話と響き合っています(ルカ15:20)。父イサクの死去に際し、エサウはヤコブと共に葬儀を行い(創35:29)、「約束の地」をヤコブに譲ります(36:6、27:41)。

神はこのエサウを祝福します(36章)。彼が右の頬を殴られても左の頬を差し出すような「大人(おとな/たいじん)」だからでしょう。 JK