2025/02/26今週の一言

今回はエノクという旧約聖書に登場する男性です(創世記5章21-24節)。

旧約聖書の中には地上での死を経験していない人が二人います。預言者エリヤとエノクです。エリヤの場合は火の戦車に乗って天へと昇って、地上に戻ってこなかったと言われます(列王記下2章11節)。エノクの場合は、創世記5章24節(私訳)に、次のように記されています。

「そしてエノクはその神と一緒に自由に歩いた。そして彼はいない。なぜなら彼を神が取ったからだ。」

「神と一緒に自由に歩いた」は5章22節の繰り返しです。ここにエノクの生きざまがあったということを著者は強調して言いたいのです。「歩く」には人生行路を歩むという意味合いが、日本語と同様ヘブル語にもあります。そして「自由に歩く」という表現は、3章8節にも用いられています。ヒトパエル談話態と言い、行為が自分自身に作用したり、自分自身で行う場合の語り方です。つまり3章8節においては、主なる神がエデンの園を自由に歩き回るさまを表しているのです。この個所に「散歩する」という日本語訳があるのですが、言い得て妙です。自分自身の思いで好きなように好きな場所を歩くという含みがあるからです。

エノクは、自由な神と歩調が同じであるということを評価されています。神と一緒に歩く中で、エノクもまた自由になっていたのでしょう。人生は神と共なる散歩のようなものなのかもしれません。神から見ても、歩調の合う人と共なる散歩はとても楽しいものなのでしょう。

エノクは神に愛され喜ばれ、神に取られ、いない者となりました。「信仰によって、エノクは死を経験しないように、天に移されました。神が彼を移されたので、見えなくなったのです。移される前に、神に喜ばれていたことが証明されていたからです」(ヘブライ人への手紙11章5節)。JK