2025/04/23今週の一言

今回はアブラハムの甥であるロトの配偶者。彼女の名前は知られていません。
彼女がロトと結婚した時期や彼女の出身地は明示されていません。75歳のアブラハムがハランから「約束の地」へ旅立ったことを考えると、彼女もまたアブラハム・サラ・ロトと行動を共にしたと思われます。おそらくアラム地方ハラン出身の女性であり、ハランでロトと結婚したのでしょう。
ロトの妻は四人以上の娘を出産しています(19章8・14節)。男児がいないことがアブラハム・サラ夫妻に共感する点だったかもしれません。アブラハムは父テラと喧嘩別れをしています。原因の一つは家父長制、「父の家」(12章1節)の問題です。アブラハムの妻が子どもを生まないこと、ロトの妻が男児を生まないことをもって、テラと彼の「家」は彼女たちを抑圧していました。
ロトとその妻と娘たちはソドムという町に住みます(13章)。アブラハムとロトがそれを決めたからです。彼女はその話し合いの過程に口を挟むことができません。一家は当初移動式住居である天幕に暮らしていましたが(13章12節)、エラム王に略奪された(性暴力も受けたか?)ことがきっかけか(14章)、あるいはソドムの治安上の問題からか、居を構えて定住します(19章2・3節)。
ロトの妻は、自宅に押し寄せる暴漢たちに対する夫の非道な提案に(二人の娘を犠牲にして客人を守る!)、全く賛成をしていなかったでしょうけれども、沈黙をしています。意見をさしはさむことが許されていないのです。その一方で不釣り合いなことに、彼女とその娘たちは常に暴力の危険にさらされています。
神の裁きがソドムを襲った時、ロトとヤハウェの使いは話し合いツォアルという町まで逃げることとなりました(19章18-22節)。この交渉にもロトの妻は加わることができません。ヤハウェの使いの警告を破って、彼女は逃げる際に後ろを振り向き、その結果命を失いました。誰が彼女を責められうるのでしょうか。JK