2025/08/20今週の一言

今回はロデ(薔薇の意)という女性。使徒言行録12章13節に登場する弟子です。

ロデはヨハネ・マルコという男性弟子の母親に仕える召使だったと言われます。新共同訳聖書は「女中」と訳しています「パイディスケ」というギリシャ語単語には、「女性の奴隷/召使」という意味があるからです。また、訪問客(牢から脱出したペトロ)の取次ぎをしているという特殊な場面が後押しして、彼女はその家に仕える女中であると推測されてきました。

しかしパイディスケには、「少女」という意味もあります。この物語の大きな文脈を把握する必要があります。それはキリスト信徒たちが大勢ヨハネ・マルコの母親宅に集まって、獄中のペトロのために祈るという場面です。つまり教会で祈祷会が行われていたのです。当時の教会は信徒の家を用いて礼拝や集会を行っていました。このような時には、その家の者や召使でなくても教会員であれば誰でも、さっと新来者を迎えることができたはずです。ロデは単なる若い教会員だったのではないでしょうか。無理に召使と想定しなくても、話の筋は通ります。

ロデは喜びによってペトロのために門を開けなかったのですが、彼女は声の主がペトロであることを確信しています。見ずに信じたのです。そして、教会中の祈りが実現したことを素直に喜んでいました。ところが、彼女の報告を他の教会員たちは信じません。ロデが少女であるからでしょう。「あなたは気が変になっている」と酷い言葉を投げつける教会員までいました。復活のイエスを見た女性たちの証言を、男性弟子たちが信じようとしなかったことと重なり合っています。

心の清いロデは己を曲げません。ペトロの救いを祈っていた割には信じていなかった他の教会員たちは、自らの手で門を開けペトロに再会し、ロデに対する言動を悔い改めました。信じて祈ることや、平たい交わりの尊さを伝える物語です。少女が大人たちに信仰とは何かを教えています。JK