2025/09/24今週の一言

今回はラバンというアラム人男性です。アブラハムの弟ナホルの息子ベトエルの息子にあたります。

ある日、アブラハムの僕を称する人物が、ラバンの家を訪れました。彼の姉妹リベカを、アブラハムの息子イサクの妻にさせてほしいというのです。ためらいながらもラバンと両親は、リベカをカナンの地に送り出します(創世記24章)。

それから四十年ほどの年月が経ちました。両親を看取り、二人以上の息子とレアとラケルという娘を授かったラバンの家に、一人の若者が訪れます。甥ヤコブです。聞けば、双子の兄エサウとの深刻な対立・葛藤のため、母リベカの助言によって自分を頼って家出をしてきたとのこと。ラバンは親戚のヤコブを歓待し、姉妹の願いを聞き入れ居候を許しました。

一か月後、ラバンはヤコブに対して雇用の意思を示しました。条件交渉の際ヤコブが下の娘ラケルに好意を抱いていることを利用して、ラバンはヤコブを七年間無償労働させることに成功します。さらに上の娘レアをも、ヤコブの意思と関係なくヤコブに結婚させ、さらに七年間ただ働きさせます。家父長制と一夫多妻制を自身の利益のために悪用するラバンは狡猾です(同29章)。

もしレアの眼が不自由であり(同17節「目が弱い」)結婚に不利であったこと、また、レアがヤコブに好意を寄せていたことを父ラバンが配慮していたのならば、狡猾というだけではないのかもしれません。ラケルはラバンを恨みましたが。

ヤコブが転がり込んでから二十年ほどが経ち、ラバンに無断で婿ヤコブと二人の娘と八人の孫たちが彼の家を出奔しました。ラバンは激怒し、ヤコブ一家を追いかけ、追いつき、そしてヤコブと契約を結ぶこととなります。親族ではあるけれども今後交流をしないこと、どちらも今後権利義務を主張しないことが約されました(同31章)。打算は必ずしも幸福を導きません。JK