2025/10/01今週の一言

今回はセト(原音では「シェト」)という人物。カインとアベルに次ぐ、アダムとエバ夫妻にとって三番目の息子です。

創世記4章25-26節の直訳風私訳は次の通りです。

25 そしてアダム〔人間の意〕は再び彼の妻を知った。そして彼女は息子を生んだ。そして彼女は彼の名前をセトと呼んだ。「なぜならわたしのために神がアベルに代わる別の子孫を置いた(シャト)から。なぜならカインが彼を虐殺したから。」

26 そしてセトのために息子が、彼もが生まれた。そして彼は彼の名前をエノシュ〔人類の意〕と呼んだ。その時、ヤハウェの名前を呼ぶことが始められた。

エバは長男カインと同様に、三男セトを命名しています(1-2節参照)。次男アベルの死と長男カインの追放は、彼女にとっては二人の息子を同時に失うことでした。25節に「わたしのために」があることから、後半はエバの発言と採ります。その方が1節とも整合するでしょう。末子セトは文字通り授かりものです。神が与えた子どもが、新しい未来を拓くことをエバは夢見ます。

セトはエバの志を引き継ぎ彼女と同じ行動をとります。そして父アダムの名前から連想し、息子にエノシュという名前をつけます。アダムは人間というヘブル語。それに対してエノシュ(アラム語エナシュ)は「人類」というより広い意味の言葉です。人類の新しい歴史を始めようというセトの意思が伝わる命名です。

子どもの命名を「名前を…と呼ぶ」と表現することからの連想で、「ヤハウェの名前を呼ぶ」ことの開始が言及されています。語呂合わせです。神の名を呼ぶ礼拝を全人類のためにセトが始めたのです。ナザレのイエスは、アラム語を日常語として、「私は」というべきところを「人の子は(バル・エナシュ)」と言いました。人となった神の子イエスを主キリストと呼ぶ礼拝は、全人類のために開かれています。JK