2026/01/14今週の一言

今回はタマルという女性。ゲシュルの王タルマイの娘マアカと、ダビデとの間に生まれた娘です。

ダビデはサウル王から逃れていた時に、ペリシテ人都市国家ガトの王アキシュに1年4か月の間、客将として仕えていたことがありました。アキシュのためにダビデはゲシュルを軍事征服しています(サム上27章)。おそらくその際にマアカを捕虜とし、自分の妻にしたのでしょう。その後ダビデはヘブロンを首都とした南ユダ王国の王となり、マアカは息子アブサロムと娘タマルを生みました。ユダ部族の先祖タマルにあやかる、由緒正しい名前です(創世記38章)。タマルは兄と共に「母の家」で育ちます(サム下3章)。

ダビデが北イスラエル王国(サウル王朝)を併呑し、首都をエルサレムに据えた後、タマルも母に連れられ王宮の一角に引っ越します。異母兄アムノンがタマルに恋をしたのはその頃です。自己の思いを実現させるため彼は、自宅で彼女を強姦する計画を練ります(サム下13章)。

タマルはアムノンに言論で抵抗しています。①異母妹を犯すことは違法である(レビ記18章11節)、②自分との結婚が希望ならば父王に相談せよと、彼女は情理を尽くして説得を試みます。しかしアムノンはこの説得を無視し暴行に及びます。

さらに身勝手なことに、アムノンは強姦後にタマルに対して激しい憎しみを抱き、彼女をその場から即座に追い出そうとします。それに対するタマルの抗議が印象的です。「否。この大きな悪の原因(に)。私を追い出すために貴男が私に対して行った後のことよりも」(サム下13章16節。私訳)。嘆くタマルは兄アブサロムの家に身を寄せます。兄は妹の無念を記念し、後年生まれた自分の娘に「タマル」と名づけました(サム下14章27節)。強姦計画と事件をもたらした「この大きな悪の原因」とは何なのでしょうか。今も多くの「タマル」が問うています。 JK