2026/01/21今週の一言

今回はリディアという女性。使徒言行録16章に登場する教会指導者です。

「リディアは解放奴隷だった」という学説に基づいて、彼女の人生を再構成します。奴隷は出身地がそのまま名前となる場合もあったようです。マケドニアのフィリピに住む彼女の主人は、小アジア半島のリディア地方にある「ティアティラ」(14節)にちなんで、彼女をリディアと名づけます。その主人が紫布商人であり、彼女はその紫布の製造に携わっていたと推測します。布を紫に染める作業は独特の強い臭いから、奴隷の労働とされていたからです。紫布は非常に高価な商品だったので貴族富裕層が商売相手です。この人脈と染色技術でもって、解放奴隷リディアは元主人に伍する紫布商人にまで成り上がりました。女性経営者は稀少な存在ですが、解放奴隷の成功例としては典型だったと言われます。

リディアはユダヤ教に興味を持つ「神を畏れる人」(14節。10章2節、13章16節)でした。彼女は知人の医者ルカらとユダヤ教会堂と別の場所で神を礼拝します。非ユダヤ人女性は会堂礼拝が許されていなかったからです。「祈りの場」(13・16節)集会は、独力で礼拝を持続させることに限界も感じていました。そのころ、ユダヤ教ナザレ派の伝道者パウロが、小アジア半島トロアスまで来ているという噂を聞きます。リディアは船旅が得意のルカにパウロ招請を依頼します(6-10節)。

パウロの話を聞き、彼女はパウロ系列の教会を自宅で始めることを決めました。「リディアの家」の教会です(40節)。フィリピという町がローマ帝国の退役軍人の植民市であったことや、彼女の経歴と人格がフィリピ教会の特色を形作ります。紫布商人に雇われている労働者(15節)、その取引先商人・貴族、医者、解放奴隷の少女(16-18節)、牢獄の看守家族(25-34節)、元ローマ兵(フィリ4章22節)、女性指導者たち(同2節)といった多様な人が教会員です。フィリピ教会はパウロを物心両面で支え続けました。リディアはその基礎を据えた人物です。JK