12/30今週の一言

礼拝説教は昨年から今年にかけて「十戒」(出エジプト記20章2-17節)に差し掛かっています。ここで十戒全体の鳥瞰図をまとめておきます。

毎週の説教は以下のような区分・見出しおよび私訳・要約に即しています。

・前文(2節):わたしはヤハウェ、あなたを奴隷の家から導き出したあなたの神。

・第一戒(3節):あなたにとってわたしの面前に他の神々はない。

・第二戒(4-6節):あなたは自分のために像をつくらない。

・第三戒(7節):あなたは虚偽の目的でヤハウェの名を挙げない。

・第四戒(8-11節):安息日を覚えること。

・第五戒(12節):あなたの父親とあなたの母親とを尊重すること。

・第六戒(13節):あなたは殺さない。

・第七戒(14節):あなたは不倫しない。

・第八戒(15節):あなたは盗まない。

・第九戒(16節):あなたはあなたの隣人への偽証をしない。

・第十戒(17節):あなたはあなたの隣人の家を欲しがらない。

文法的には二つに類型分けされます。①動作未完了の否定文ないしは禁止命令が一戒・二戒・三戒・六戒・七戒・八戒・九戒・十戒の八つ。②あいまいな肯定文が前文・四戒・五戒の三つです。

対象が不明の極めて短い文が六戒・七戒・八戒の三つ。そこで、「誰に対してなすべきでない事柄なのか」について、説明が必要とされます。この三つは内容的にも一塊になりやすいものです(エレミヤ7章9節、ホセア書4章2節)。

内容的区分において、しばしば二つに大別されます。前半、神礼拝に関わる内容が、前文・一戒・二戒・三戒・四戒。後半、隣人愛または共同体内部秩序に関わる内容が、五戒・六戒・七戒・八戒・九戒・十戒。「隣人」という単語は、九戒・十戒のみに登場します。隣人の定義が問題になるゆえんです。

「十戒の一つ一つの言葉はそれぞれ別の行為について語っている」と考えると、困難が生じます。一戒と二戒(他神礼拝)、三戒と九戒(宣誓)、七戒と十戒(不倫)、八戒と十戒(窃盗)の内容が重なっているからです。そこで、内容の区別よりもむしろ、内容の重なりに意義を持たせる方が良いと考えます。

つまり、神はさまざまな角度から一つの事柄を語ることがあると捉えるのです。それはさらに、一つの言葉からさまざまな事柄への示唆を汲み取る姿勢にもつながります。十戒は狭く細かく分類せず、一つの神の述懐と理解しましょう。 JK