6/17に国会が閉会すると報じられています。1/20に開会して、ちょうど150日目にあたります。憲法の定める通りの日数です。「野党からの厳しい追及を避けるために政府与党は延長をせず閉会する見込み」との記事。お馴染みのフレーズに慣れきってしまって素通りしそうですが、立ち止まって批判的に考えてみましょう。
国会は多くの住民が幸せになる法律を作るための機関です。良い法律を作るためにはさまざまな立場の住民を代表する人々が国会に必要です。国会議員とは住民の代表です。政党は国会議員を育て、住民のうち似たような意見を集約するための組織です。だから、国会での話し合いというものは、異なる意見の代表者たちが法律をより多くの人々が納得するものに改変するためのものであるはずです。
現実の国会論戦において法律案の妥協・修正・合意形成はほとんどなされません。「お説教」「のらりくらり答弁」「別法案の取引」「審議拒否の欠席」「強行採決」「日程闘争」などなど。政府与党からすれば150日を大過なく乗り切るか、任意で延長して好きな法案を通すことが使命、野党からすれば内閣が提出した法案通過を少なくすることや遅くすることが使命となっています。審議時間の長さだけが「議論が熟した」ことの目安になっていることも問題です。
国会に上程される法律案は、8割以上が内閣提出法案です。一旦提出されたら提案主体の内閣でさえ修正できないという慣例で行っています。また法案時点で合憲か違憲かを最高裁も判断しないしくみでもあります。司法による牽制もないのです。かくして、ほぼ無修正のままの内閣提出法案ばかりが法律となり続けます。
国会は政府を長とする行政組織を監視し、牽制するという仕事も担っています。ここでの国会は与野党を含めた総体です。三権分立の建前から、国政調査権を用いて国会は政府・行政の政策執行ぶりをチェックできるはずなのです。
しかし現実には機能していません。現状国政調査権が少数の国会議員だけでは用いられないので、政府と一体化した多数派与党が拒めばそれを使うことができません。そこで野党は、「野党が閣僚の不祥事を追求するために、予算委員会に総理大臣の出席を要求する。さもなければその他の委員会審議を拒否する」という闘い方のみに押し込められています。実は国会には懲罰委員会があるので、本来倫理的な問題はそこで扱い必要な処罰をすれば良いのですが、ここも機能していません。
三権分立・二院制・議院内閣制・政党・議員・国対政治、全体のしくみの機能不全が課題です。通年国会への改変や、議員立法・法案修正をしやすくするしくみなどが整備されないと、選挙で議員を評価することもできません。 JK