8月15日は76回目の「敗戦記念日」です。しかし、なぜ8月15日なのでしょうか。
1945年8月10日に、日本政府はいわゆる「御前会議」でポツダム宣言受諾と無条件降伏を決議し、国外に発信していました(国内では秘密)。そこから政府内部で意見が分かれ、14日にまたぞろ「御前会議」(この時だけ「ご聖断」という)で決議し直して、15日正午の「玉音放送」という流れとなりました。天皇の肉声がラジオで放送された初めての時だったそうです。天皇が戦争を終わらせたという印象を強く与えています。
確かに8月15日以降の戦闘は差し控えさせられましたが、しかし厳密には戦闘行為が終わっていない地域もありました。沖縄においては、9月7日の南西諸島守備軍代表による降伏文書調印が公式の戦闘が止んだ日です。
戦勝国である連合国側では、9月2日を「対日戦勝記念日」(第二次世界大戦が終わった日)とする国が米国をはじめ多くあります(中国は9月3日)。それは東京湾上の米国戦艦ミズーリ甲板で、重光葵外相とマッカーサー連合国最高司令官が降伏文書に調印した日だからです。この降伏文書にポツダム宣言の履行等が定められていました。法的には9月2日の方が敗戦記念日として権威がありそうです。
では、なぜ8月15日なのでしょうか。お盆と重なる時期という理由もあったと思います。死者を覚える季節との連想です。習慣を背景に、「終戦記念日」を8月15日とすることはじわじわと定着したことが分かります。1957年引揚者給付金等支給法が8月15日を初めて「終戦の基準」と法に明文化しました。1963年政府主催の全国戦没者追悼式の8月15日開催が閣議決定され、1965年から現在まで同式は行われています。1982年、8月15日を「戦没者を追悼し平和を祈念する日」とする閣議決定がなされています。前天皇明仁は、「忘れてはならない4つの日」として6月23日・8月6日・8月9日・8月15日を挙げています。憲法上政治的権能を持たない公務員「国の象徴」による政治的主張です。
わたしたちは「ご聖断」を美化した天皇中心に考える歴史観(玉音放送史観)に毒されてはいないでしょうか。8月15日だけではなく、一年中いつでも世界全体の平和を祈念することが大切であると思います。JK