【ルツ記2章】
12 ヤハウェが貴女の行為(に)報いますように。そして貴女の報酬がヤハウェ・イスラエルの神(と共にあること)により充足しますように。その彼の翼の下に逃げるために貴女は来たのですが。」
13 そして彼女は言いました。「①私はあなたの眼の中に恵みを見出したいです、私の主人よ。②というのも貴男が私を慰めたからです。③また、というのも貴男が貴男の侍女の心の上に語ったからです。④しかし私、この私は貴男の侍女の一人のようにはなりません。」
ボアズとルツの対話が続いています。ボアズはこの対話で初めて神に言及します。「ヤハウェ・イスラエルの神」がどのような神であるのかについてボアズは自分の信仰を表現しています。すなわち、イスラエルの神はモアブ人をも翼の下に守る方です(12節)。「翼」(カナフ)という言葉は、後に登場する服の「裾」と同単語です(3章7・8節)。
ルツの発言は多義的です。どのように解するかは読者に委ねられています。私訳はルツの意思を強調しています。②文目と③文目は、並列して①文目の理由となっています。①文目と④文目は「私は」という主語の未完了視座という共通項があります。ボアズの行為(②・③文)は従であり、ルツの行為(①・④文)が主です。そこで、未完了を強い意思と採ります。
「侍女」(シフハー)は語源的には「妾」「側女」とも言われます。たとえば、ハガルはサラの侍女であり、後にアブラハムの二人目の妻ともなります(創世記16章1節)。ボアズには既に妻がいたかもしれません。謙譲表現として「貴男の侍女」と自称しながらも、しかし、ルツは決然と「貴男の側女」にはなりたくないと告げています。JK