2023/03/15今週の一言

【ルツ記3章】

1 そして彼女〔ルツ〕の義母ナオミは彼女のために言いました。「私の娘よ、私は、あなたのために良い休息を、あなたのために求めないでしょうか。

2 そして今や、ボアズは私たちの親族ではないでしょうか。その彼〔ボアズ〕の若い女性たちと共にあなたは居たのですが。ごらんなさい。今夜、彼はその大麦の打穀場と共に(もみ殻を)吹き飛ばし続けています。

 2節によると、ルツは女性労働者たちと寝食を共にして泊まり込みで働いていたように読めます。「ボアズの若い女性たちと共にルツが居た」とナオミが認識しているからです。ヘブライ語はBE動詞を用いないので、この「居た」(動詞ハーヤー)はなくても意味が通じます。そこでルツは女性労働者たちに「同行」しただけではなく、「同居」したという、強めの意味に採ります。

刈り入れの繁忙期だったからでしょうか。そのルツが、ボアズの畑からベツレヘム城内のナオミのもとに帰ってきました(2章23節異読)。すぐさま発言を始めるナオミの姿に、ルツの帰りを今か今かと待っていた様子が伺えます。

1・2節に繰り返される「~ないでしょうか」という否定疑問文は反語表現であり、強い肯定を言い表しています。ナオミはルツの休息を強く求めていますし、ボアズは確実にナオミの親族であるのです。

「~のために」(1節)は「~に」と中立的にも訳せます。ここではナオミのお節介な善意を示すために「~のために」としました。この後ナオミはルツにボアズと結婚するようにと勧めます。「玉の輿こそがあなたの幸せなのだ」というわけです。確かに古代の現実として、女性たちの赤貧からの脱出方法は限られていたことでしょう。しかし、現代社会においてこのような「あなたのために」は「小さな攻撃性(Microaggression)」ともなりえます。JK