2023/04/19今週の一言

【3章】

8 そしてその夜の半ばにおいて次のことが起こりました。すなわちその男性/夫〔イーシュ〕は震えました。そして彼は寝返りを打ちました。そしてご覧なさい。女性/妻〔イッシャー〕が彼の足元(に)寝続けています。

9 そして彼は言いました。「貴女は誰ですか。」そして彼女は言いました。「私はルツ、貴男の奴隷。そして貴男は貴男の裾/翼〔カナフ〕(を)貴男の奴隷の上に広げるべきです。なぜなら貴男が贖う者だからです。」

8節は暗示的です。イーシュという名詞は「男性」とも「」とも訳しえます。同様にイッシャーは「女性」とも「」とも訳しえます。この二つの単語は新共同訳聖書においては創世記2章23節に丸括弧書きで紹介されています。つまり、アダムとエバと似たような言葉づかいで、ボアズとルツが夫婦となることがある程度予告されています。

ボアズは自分の足元に寝続けている女性に向かって問います。ヘブライ語の二人称は男女の別をします。「貴女(女性であるあなた)は誰ですか」との問いによって、ボアズが「相手は女性である」と認識していることが明らかです。そしておそらくは相手がルツであるということも薄々感づいているのではないでしょうか。

9節のルツの発言は、かつてボアズがルツに語った言葉と対応しています。「〔ヤハウェ〕の翼〔カナフ〕の下に逃げるために貴女は来た」(2章12節)。ヤハウェの翼とボアズの裾が、同じ単語「カナフ」によって同一視されています。ボアズは親戚として債務奴隷を買い戻す責任を持つ「贖う者」であり、ヤハウェ神はボアズ人女性ルツを自由に解放する贖い主です。旧新約を貫く救い主の姿があります。

なお「奴隷」という女性名詞「アマー」は、2章13節「侍女」(シフハー)とは微妙に異なる言葉です。贖う者との関連で奴隷という強い言葉が使われていると思います。JK