【3章】
14 そして彼女は彼の足元(で)その朝まで寝ました。そして各男性が彼の隣人を認知する前に、彼女は起きました。そして彼は言いました。「その女性が打穀場(に)来たということが、知られてはならない。」 15 そして彼は言いました。「貴女は貴女の上にある肩掛けを与えなさい。そして貴女はそれを掴みなさい。」 そして彼女はそれを掴みました。そして彼は大麦六(升)を計りました。そして彼はそれの上に置きました。そして彼はその町(に)来ました。
ルツは翌朝までボアズの足元で寝ました。「各男性〔イーシュ〕が彼の隣人を認知する前に」(14節)という表現は、「よく見知っている者同士が互いの顔を認識し合う前に」という意味です。ただし、「その女性〔イッシャー〕」は「妻」の意味もありますから、「各男性〔イーシュ〕」は「夫」という意味を類推させる語呂合わせでもあります。ルツとボアズが夫婦となる未来が暗示されています。
「彼は言いました」というまったく同じ言葉が14節にも15節にも使われています。前者は誰に言ったのか不明であり、「心の中で言った言葉」と解されえます(新共同訳「考えた」)。後者は明確にカギかっこをつけるべき直接話法です。「あなたは」という主語で面と向かってボアズがルツに述べているからです。ヘブライ語原典にはカギかっこがありません。旧約聖書に付されたカギかっこそのものが一つの解釈です。ボアズが独り言を言った可能性もあるのです。
「大麦六(升)」の具体的な量は不明です。6カブであれば7.8リットルほどの容量です。「肩掛け」はルツが持参したものです。ナオミの命じた「外套」とは異なる単語です(3章3節)。外套とは別に肩掛けをも着用していたのかもしれません。それがボアズの目に留まります。この救援物資は、ボアズからナオミへの意思の伝達にもなります(17節参照)。JK