2023/07/05今週の一言

【4章】

13 そしてボアズはルツを取りました。そして彼女は彼に属する妻になりました。そして彼は彼女のもとに来ました。そしてヤハウェは彼女のために妊娠を与えました。そして彼女は息子を生みました。

ヘブライ語で男性が女性を「取る」という表現は、「結婚する」という意味になります。日本語の漢字表現にも「娶る」という、結婚を表す言葉があります。おそらく「女を取る」ということが語源でしょうから、ヘブライ語に一脈通じます。

関西弁の影響でしょうか、妻のことを「嫁」と呼ぶ夫も多くなったように思います。「家に入って来る女性」という意味でしょう。家父長制と家制度を前提にしたさまざまな表現があります。女性が所有されるという考え方が問題です。

ルツは家長たるボアズに属する「妻〔イシャー〕」になりました。今までは「モアブ人女性〔モアビヤー〕」(10節他)とも呼ばれていたルツが、ペレツの家の一員とされたということでしょうか。やや嫌らしい言い換えです。「ボアズのための女性となった」とも訳せますが、ルツの主体性は失われたままです。

「ルツがボアズのもとに来た」一方で、「ボアズがルツのもとに来た」とも言われます。一夫多妻制を前提に、遊牧民の各妻が自分自身の天幕を所持していたことの名残でしょう。夫は妻のもとに来なければならなかったのです。ひょっとするとボアズには他に妻がいたのかもしれません。現代人の目から見ると、ユダヤ人ボアズとモアブ人ルツが対等の夫妻(イーシュとイシャー。創世記2章参照)であってほしいところです。総じて本文は女性差別を助長しています。

ところでヤハウェの神は、ボアズのためにでもなく、また義父エリメレクの家のためにでもなく、ルツのために妊娠を与えたとあります。そして彼女は息子を生みます。神は少なくともルツの傍らにいるようです。 JK