今回はエリサベト、アロンの子孫です(ルカ1章5節)。エリサベトの夫はザカリアという名前の祭司でした。彼女は「主の掟と定めをすべて守り、非の打ちどころがなかった」(6節)と評されます。
サラやリベカ、ラケル、ハンナらと同じく、エリサベトにも長らく子どもが与えられませんでした。家父長制は子ども、特に男の子を生まない女性を苦しめます。神の呪いの結果とさえ考えられたのです。
天使ガブリエルは夫ザカリアにエリサベトの妊娠・男児出産を予告し、「ヨハネと名づけよ」と命令します。エリサベトは当事者なのに無視されたままです。夫ザカリアも話すことができなくなっていたので、彼女は事情を正確につかめないまま妊娠します(24節)。
エリサベトが妊娠して六か月目に、親戚のマリアという若い女性がナザレから訪ねてきます。同じように、天使ガブリエルから妊娠・男児出産を予告され、「イエスと名づけよ」と命じられているというのです。エリサベトは賢明にも二つの出来事を結びつけ、マリアの出産を後押しします。エリサベトはルカ文書(ルカ福音書・使徒言行録)における聖霊に満たされた最初の人物です(41節)。この聖霊が、バプテスマのヨハネとイエスの活動の原動力でした。
有名な「マリアの賛歌」(47-55節)は「ハンナの祈り」(サムエル記上2章)を下敷きにしていますが、エリサベトの賛歌とする異読も存在します。ハンナとの類似性からは、マリアよりもエリサベトが歌ったとする方が自然です。
男児が生まれた時にエリサベトは口の利けない夫ザカリアに代わって、「ヨハネ」と命名します(60節)。人々は女性親の命名行為を軽んじて、彼女の言葉の権威を認めません。軽んじられ続けても、なお堂々と生き、隣人を励ますエリサベトは、クリスマスのメッセージを伝えています。Empowerment! JK