クリスマスは贈り物の季節です。サンタクロースというよりも、聖書にその起源があります。根本的には神が、神の独り子イエスを世界に贈ったという出来事が起源です。物品に絞れば「占星術の学者たち」(口語訳「博士たち」)の贈り物がクリスマスプレゼントの由来です。
占星術の学者たちは「黄金」「乳香」「没薬」を贈り物として、マリア・ヨセフ・イエスの家族に捧げたとあります(マタイ福音書2章11節)。なぜこの三つだったのかについては、美しくも示唆深い伝説がキリスト教会の中で育まれ言い伝えられています。
一つ目の黄金は、路銀のために捧げられたというのです。三人家族はヘロデ王の魔手を逃れるためにエジプトに逃げます(マタイ福音書2章13節以降)。その旅の費用に黄金が用いられたという言い伝えです。
二つ目の乳香。これはかなり強烈な匂いを発する香です。赤ん坊のイエスは宿屋に泊まることができずに仕方なく馬小屋の飼葉桶に寝かせられたとあります(ルカ福音書2章7節)。乳香の強烈な匂いによって馬小屋の動物たちの体臭を消したという言い伝えです。
三つ目の没薬は、死者のために塗る薬です。生まれたばかりの赤ん坊に対する贈り物としては、あまりふさわしくないようにも思えます。飼葉桶と十字架がここで一直線に繋がります。世界に居場所がないかたちで生まれた方は、世界に居場所がないかたちで殺された方です。十字架で処刑されたイエスは、没薬を塗られて葬られます(ヨハネ19章39節)。神に贈られた人の子イエスが、神によってよみがえらされ神の子キリストとして、永遠の生命をこの世界に配ります。
黄金と乳香は人間同士の愛を示し、没薬は神の愛に対する人間の応答を表していると言えそうです。JK