2024/03/20今週の一言

今回はエリヤという、「私の神はヤフ(ヤハウェの別名)」という意味の名前をもつ男性預言者です。エリヤは出自不明、イスラエル人であるかさえ曖昧です(王上17章1節)。紀元前9世紀の北イスラエル王国の王アハブの前に突如現れ、旱魃の到来を予告して国外に逃げ去ります。身の危険を感じたからでしょう。

烏に養われながらの亡命先はフェニキアのサレプタという町。そこでエリヤは赤貧に苦しむやもめの生活を支え、彼女の息子を死からよみがえらせます(同17節以降)。エリヤは奇跡行者です。この点でナザレのイエスと重なり合います。

エリヤはアハブ王の政策に反対していました。フェニキアの王女イゼベルと政略結婚して以来、イスラエルにはバアルを主神とする多神教が国教とされていたのでした。エリヤは、彼自身の名前が示唆する通り「ヤハウェのみが神」と信じていました。南王国よりも北王国の方が「ヤハウェのみ」という保守的信仰が根強かったので、イゼベル王妃はヤハウェの預言者たちを弾圧します(18章)。

エリヤは道場破りのように試合を申し込みます。バアル神の預言者450人と、ヤハウェ神の預言者1人(エリヤ)で、同じ願いをそれぞれの神に捧げ、声を聞き届けた方が勝つという試合です。そしてエリヤはその試合に勝ちます。そして旱魃はイスラエルを去り、再びエリヤは亡命します。イゼベルの報復を恐れたからです。今度は天使からの差し入れに養われ、エリヤは神の山ホレブに落ち延び、そこで神に出会います(同19章)。「沈黙の声(直訳)」(19章12節)によって神はエリヤに新しい使命を与えます。それは弟子を育てよという使命です。

弟子エリシャの目の前でエリヤは火の車に乗って生きながら天に昇ります(王下2章)。これもまたイエスに似ています。JK