2024/06/12今週の一言

今回はリベカ、アラム人ベトエルの娘です。

 リベカは才気煥発で胆力のある族長です。頭の回転が速く決断力があります。たとえば見知らぬ旅人のもてなしにも迷いがありません(創世記24章18節)。また、遠隔地に住む親戚(祖父の兄の息子イサク)と結婚し「母の家」(同28節)を離れることも、自分の意思で決断しています(同58節)。

 イサクとの結婚後20年を経て、リベカは双子の息子たちを出産します(25章19-26節)。妊娠中彼女は神の意思を聞きます。それは「兄が弟に仕えるという未来でした。家父長制の逆転を実現することがリベカの使命となりました。適任者です。この困難なプロジェクトを完遂できるのは彼女しかいません。

 リベカは老いて目がかすんできた夫イサクを騙します。夫に錯誤を起こさせ、長男エサウに授けるはずの「家父長の持つ祝福」を、次男ヤコブに授けさせます(27章)。この悪辣な策略の実行に当初ヤコブはひるみ怖気ますが、リベカが強力に後押しして、半ば強引に実行させています(27章13節)。そしてまんまとイサクを騙し通し、長男エサウに変装した次男ヤコブが「家父長の持つ祝福」を奪取したのでした。それが神の意思であると彼女は信じていました。

 エサウのヤコブに対する殺意を知ると、リベカはすぐさまヤコブを避難させます。おそらく折り込み済みだったのでしょう。逃れの場はリベカの実家です(28章)。「リベカはエサウの怒りがおさまったら知らせる。その時帰って来い」とだけヤコブに伝えます(27章45節)。しかしこの約束は履行されないままでした。

 リベカがいつ死んだのかは不明です。イサクの死の記事を読むと、リベカはヤコブとの再会を果たせず、イサクよりも先に死んでいたような印象を持ちます(35章27-29節)。リベカの乳母の死の報告も、そのことを暗示しています(35章8節)。ただし夫婦は同じ墓に葬られています(49章31節)。JK