2024/11/20今週の一言

今回はルカという男性。ギリシャのマケドニア地方の中心都市フィリピ出身のギリシャ人です。職業は医者と言われます。控えめな人格者、ご存じ「ルカによる福音書・使徒言行録」という二部作の著者でもあります。

 小アジア半島のトロアスという港町に宿泊していたとき、ルカはパウロ・シラス・テモテというキリスト者に会います。街角で三人の説教や入信の証に聞き入り、「ぜひとも自分の故郷フィリピに来て、リディアという女性に会って、教会を創めてほしい」とルカは依頼します。

 ルカはリディア宅で始まったフィリピ教会でバプテスマを受け、教会の創立メンバーとなります。基本的にはフィリピに居ながら、適宜パウロたちに同行し、彼ら彼女らの活動に協力することとなります。彼は船旅に慣れているので船の手配はお手の物です。彼は医者ですから病弱なパウロの主治医です。ルカは信仰のために投獄されるパウロを支援し続けます。またパウロの呼びかけに応えて、エルサレム教会への義援金を集めることに尽力します。

 パウロ系列教会代表団の一人としてエルサレムへ向かう旅の途中、フィリポ系列の諸教会の礼拝で、ルカはマルコ福音書を用いた礼拝を経験します。エルサレムでは、イエスの兄弟ヤコブや母マリアにも会い、イエスや教会の誕生物語や使徒会議の様子を聞きます。マルコの母マリアや、ベタニア村の姉弟とも交わったかもしれません。アラム語で行われる礼拝や、パウロの書簡に無いイエスの言動にルカは感動します。サマリアにもイエスの影を追って旅をしたことでしょう。

パウロがエルサレムからカイサリアに移送された後は、フィリポからステファノの人となりを聞きます。徐々に固めた構想を、ローマでパウロの生活を支えながら、ルカは形にしていきます。非ユダヤ人が書いた初の福音書、それに引き続く唯一の初代教会史という二部作を生んだルカは、稀有なキリスト者です。JK