2025/01/01今週の一言

今回はベエリの息子ホセアという男性。紀元前750-710年ごろに活躍した、北イスラエル王国の預言者です(1章1節)。唯一の北王国生まれの記述預言者ホセアの召命と使信は、結婚と子どもたちへの命名と結びついています。

神は「ディブライムの娘ゴメルと結婚せよ」と、若きホセアに命じます。ゴメルはおそらく「神殿聖娼」の一人です。それは聖なる高台という礼拝施設で、バアル宗教の礼拝祭儀の一環として祭司等との性交渉を強いられる仕事です。神はホセアにゴメルの解放を命じ、そして彼女との間に生まれる子どもたちに不吉な名前をつけることをも命じます。子どもたちの名前は神の裁きの暗示です。

ホセアは第一に、バアルの神々を聖なる高台で拝むことを批判しています。それが一種の不倫、「姦淫」だからです(2章)。むしろイスラエルは夫であるヤハウェのみを愛するべきです。ここに多神教批判、宗教が性を搾取の道具とすることへの批判、一夫多妻制批判があります。神は神殿聖娼を解放します。他神崇拝を神に対する不倫と捉える神学的主張は、エリヤを淵源にホセアが編み出し、ミカ、エレミヤ、エゼキエルと継承され、唯一神教の確立に寄与します。

ホセアは第二に、北王国が「姦淫」のゆえにアッシリア帝国に滅ぼされると警告しています。イスラエルは「イズレエル」(第一子の名)で敗戦する。なぜなら神はイスラエルを「憐れまず」(第二子の名)、おのれの民としなくなった(第三子の名)からだ(1章)この独特の警告通りに神は北王国を滅ぼします(前721年)。ホセアとゴメル、彼の弟子たちはホセア書と共に南ユダ王国に移住します。

ホセアは第三に、裁きを潜り抜けて、神の愛のゆえにイスラエルは再び救い出されると希望を語ります。その根拠は出エジプトの救いです(11章)。

ホセアの思想と生き方は、その後の預言者たちや、申命記を編んだ集団に大きな影響を与えました。4章2節・13章4節は十戒を彷彿とさせます。JK