2025/02/05今週の一言

今回はギデオンという男性。マナセ部族出身の士師です(士師記6-8章)。「イェルバアル」(「バアルに争わせよ」の意)というあだ名も持ちます。このあだ名は、ギデオンがバアルを主神とする多神教信仰に抗していたことを示しています(6章25-32節、8章33-35節)。

紀元前12世紀ごろ、ミデヤン人の暴力にイスラエルの諸部族が怯えていた時代のことです。平均的な胆力のギデオンはミデヤン人を避けて葡萄酒の搾り場に逃げていました。その場所で彼は軍事指導者・士師として召されます。神から逃げることはできません。士師に二種類あります。裁判によって統治する「小士師」と、侵略に抗する臨時の軍事指導者としての「大士師」です。

士師ギデオンはミデヤン人に対する奇襲攻撃によって名を馳せました。彼はマナセ部族・ゼブルン部族・ナフタリ部族から集まった32,000人の男性たちを、300人にまで絞り、ミデヤン軍に夜襲をしかけて勝利します。そしてミデヤン人の二人の長を殺すのです(7章)。

戦争をそれだけで終わらせずに、ギデオンは駄目押しの追討戦を続けます。そしてミデヤン人の二人の王ゼバとツァルムナを殺します。ゼバとツァルムナが、自分の兄弟を殺したと知ると、ギデオンは彼らを殺します(8章18-21節)。血の復讐です。またギデオンは追討戦に協力しなかったスコトの人々とペヌエルの人々にも、報復をしています(8章4-17節)。もう無茶苦茶です。

「救国の英雄」ギデオンをイスラエルの人々は王に祭り上げようとしますが、彼は固辞します。人間が王になることは神の支配に反するから、この点は立派です(8章23節)。ところが、彼がミデヤン戦役の戦利品を用いて祭具として故郷に飾ると、人々はその「偶像」を拝み始めます。ギデオンに多くの妻がいたことも甚だ残念な事実です(8章30節)。息子の一人が王を僭称したことも(9章)。JK