10/23今週の一言

10月23日の祈り会では、創世記25章19-26節を学びました。

五書をつくった思想集団のうちヤハウィスト(略称J)には、家父長制を前提にしながらも、それを批判する視点があります。家父長制に則れば、長男から長男へすべてが相続されるものです。しかし、アダム・エバ夫妻においては三男のセトが家督を継ぎます。族長たちにおいても、弟/妹から弟/妹への祝福の連続が目を引きます。「大が小に仕える」(23節)という事態です。

アブラハム・サラ夫妻の子どもイサクは、アブラハム・ハガル夫妻の子どもイシュマエルの異母弟です。弟イサクが父を相続します。このイサク・リベカ夫妻には双子が生まれ、兄のエサウではなく弟のヤコブが長子の権利を獲得します。ついでに言えばリベカがラバンの妹であることも再三強調されています。

ヤコブの結婚相手はレアとラケルという姉妹でした。二人のうちの妹であるラケルをヤコブは特に愛していました。姉レアは息子を六人、娘を一人生みます。その中で四番目の息子であるユダが特別に祝福を受け、実質的な長男となります。後のユダ部族の開祖となる人物です。レビ部族の開祖レビも三男です。

レアの妹ラケルは二人の息子ヨセフとベニヤミンを生みます。ヤコブの十二番目の子どもヨセフは、二人の息子マナセとエフライムを通して、後のマナセ部族・エフライム部族の開祖となります。また十三番目の子どもである末っ子のベニヤミンは、ベニヤミン部族の開祖となりました。ヤコブの十三人の子どもの中でも、「下の子たち」の活躍はこの後の歴史を反映しています。

ユダ部族は、ダビデ王の出身部族であり南北分立後も南ユダ王国を形成します。ちなみにダビデも八人兄弟の末っ子、ソロモンも十番目の弟でした。「ユダヤ人」の語源となった部族であり、イエスの先祖でもあります。レビ部族はミリアム・アロン・モーセ姉弟を輩出します。祭司の家系として重要です。

エフライム部族は、モーセの後継者ヨシュアや預言者サムエルの出身部族であり、北イスラエル王国の中心となった部族です。広大かつ肥沃な土地を領有することになりました。弟エフライムの方が祝福されたのです。

ベニヤミン部族はサウル王の出身部族であり、北王国の一部でありながら北王国滅亡後も南王国と共に存続しました。預言者エレミヤやパウロの先祖でもあります。聖書は大が小に仕える物語を「神の民の歴史」として記します。 JK