12月11日の祈り会では創世記29章31節-30章24節を学びました。
つい最近「女性は子どもを産んだほうが良い」と発言した大臣がいました。このような問題発言を公にしても、国務大臣の職を辞さない/辞めさせられない日本の政治風土に暗澹たる思いを抱きます。子どもを産まない/産めない女性に対する蔑視や圧力は昔から何も変わっていないと思わされます。
ヤコブという男性には四人の妻がいました。レアとラケルの姉妹、そしてレアの召使ジルパ、ラケルの召使ビルハです。聖書の時代、一夫多妻は女性の貧困(就職制限)を前提にした風習・制度でした。だから性差別の一形態と言えます。そして、子どもを産む女性は神から祝福された人とみなされ、子どもを産まない女性は神から呪われた人とみなされていました。この考えも、個人よりも家を上位に置き、女性を「産む機械」とみなし貶めています。
このような環境のもと、レア系の妻たちとラケル系の妻たちの出産合戦が繰り広げられます。レアとラケルの姉妹にとっては、夫ヤコブの愛情の奪い合いという側面もあります。また、ジルパとビルハにとっては自らの意思によらない争いごとに巻き込まれている側面もあります。本当の課題は性差別の克服なのですが、そこに気づかないまま登場人物たちは葛藤していきます。
レアは七人の子どもを産み(①ルベン・②シメオン・③レビ・④ユダ・⑨イサカル・⑩ゼブルン・⑪ディナ)、ジルパは二人の子どもを産みます(⑦ガド・⑧アシェル)。その一方でラケルは二人(⑫ヨセフ・⑬ベニヤミン)、ビルハも二人です(⑤ダン・⑥ナフタリ)。番号は生まれた順番です。また、ディナだけが女性です。
姉レアは年長であり最初の妻として客観的に最重要な地位を持っています。妹ラケルはヤコブから最も愛されている妻として主観的に重要な位置づけです。ジルパとビルハは共に召使という下位の地位に置かれています。この妻たちの地位と位置づけは、その後の歴史と重なり合います。ヤコブの息子や孫が、イスラエル民族内部の「十二部族」の名祖となり、約束の地を分割相続するからです。
大まかにジルパとビルハの部族は辺境に、ラケルの部族は中央に割り当てられます。ユダは首都エルサレムを含む南王国全土を占めます。またレビは土地を相続しない代わりに祭司職の家系となります。モーセはレビ部族、サウル王はベニヤミン部族、ダビデ王はユダ部族の出身です。 JK