2022/11/09今週の一言

【ルツ記1章】

12 貴女たちは戻りなさい/立ち帰りなさい。私の娘たちよ。貴女たちは行きなさい/歩みなさい/暮らしなさい

一訳

なぜなら私は夫に属する者になる(には)老いたからです

二訳

実際私は夫に属する者になる(には)老いました

仮に私が「私のために/私に属する希望が存在する」と言ったとしても。さらに(仮に)私がその夜/今夜、夫に属する者になった(としても)。そしてさらに(仮に)私が息子たち(を)生んだ(としても)。

ナオミの発言の続きです。彼女は、亡き息子たちの妻であるオルパとルツに向かって、「私の娘たちよ」と呼びかけます(11・12・13節)。10年間共に暮らした愛情が滲み出る表現です。愛情深く、しかし決然と、モアブの地へと帰りモアブの地で暮らすことを命じます。ナオミは、10節の二人の「貴女と共に私たちは貴女の民に帰る」という意見に反対です。

 その理由は、年齢的に再婚し子どもを生むことは不可能だというものです。一訳の立場は直截な理由付けです。二訳の立場は、もう少し嘆き節です。

 最後の文にある「仮に」と訳した「キー」という単語は、同じ節にある「なぜなら」または「実際」と全く同じ単語です。文意をなさせるためには、「仮に」しか選べません。( )で示したように多くの補足も必要です。非常に修辞的な表現によって、ナオミは自分の人生に何も希望が存在しないことを嘆いています。男性中心社会は、女性たちの希望を結婚・出産のみに絞っています。JK