2023/01/04今週の一言

【ルツ記2章】

3 そして彼女は行きました。そして彼女は来ました。そして彼女はその畑においてその刈る者たちの後ろで拾いました。そして彼女の出来事はエリメレクの氏族出身のボアズに属する畑の一部(で)起こりました。

4 そしてご覧なさい。ボアズがベツレヘムから来つつある/来ました。そして彼はその刈る者たちに言いました。「ヤハウェが貴男たちと共に。」そして彼らは彼に言いました。「ヤハウェが貴男を祝福しますように/します。」

3節の冒頭の三つの動詞の主語はすべて「彼女」=ルツです。原文は三つの動詞を立て続けに記していますから、「彼女は行き、来、拾いました」と訳しても良いスピード感です。ただし、行くこと、来ることはほとんど同じ意味です。畑と自宅の往復という意味でもないでしょう。そうなると、「行く」は「歩む」の意味であり、「生き方を決めて歩み始める」という含みかもしれません。

それだからこそ「彼女(ルツ)の出来事」と評されているのでしょう。覚悟をもって歩み始める者に何かが起こります。この「出来事」という名詞は、同節の「起こりました」と同根の言葉で、偶発的な出来事が起こるという意味合いを持っています。ルツが労働を開始したその日に、ボアズが来ます。彼はたくさんあったであろう自分所有の畑の中で、たまたまルツの働いている畑を視察します。

4節「来る」という動詞は、現在進行形のようにも、動作の断言のようにも訳せます。全く同じ活用形だからです。文脈からは現在進行形を採る方が自然ですが、語り手の興奮した筆致も嗅ぎ取れます。「来たーーー!」という感じです。

使用者は被用者と日常の挨拶を交わしています。しかし読者は「ヤハウェ」こそがこの偶発的な両者の遭遇を導いた神であることを強く意識させられます。ルツに関わる者と共にヤハウェがおり、その者にヤハウェの祝福があります。JK