2023/03/29今週の一言

クリスマスと異なりイースターは移動祝日です。「春分の日以後の最初の満月の次の日曜日」という決め方に拠るからです。2023年は4月9日となります。

イースターから逆算して直前40日間(ただし日曜日を算入しない)を「四旬節」と呼びます。その開始日は必ず水曜日となります。「灰の水曜日」です。今年は2月22日でした。四旬節最後の一週間を「受難週」と呼びます。受難週は4月2日に始まります。イエスのエルサレム入城の際に人々が棕櫚の葉を振って歓迎したことを記念して、この日曜日を「棕櫚の主日」と呼びます。また、4月6日はイエスが弟子たちの足を洗った故事に因んで「洗足の木曜日」、4月7日はイエスが十字架で苦難を受けたことに拠って「受難日」、4月8日はイエスが陰府に降ったという記事に基づいて「暗黒の土曜日」と、それぞれ呼ばれています。カトリック等教会暦を重んじる教派の信徒たちは、一日一日を大切にしつつ、4月9日の「復活祭」を心待ちにします。教会暦は霊性の涵養に資するものです。

これらの木目細かい記念日の数々から分かることは、イエス・キリストの十字架と復活がキリスト教信仰にとって最も大切なことがらであるということです。実際、キリスト教三大祝祭日のうちイースターは最古のものです。キリストが復活した曜日である日曜日に、信徒が最初期から毎週礼拝をしていたからでしょう。古代においては一年に一度イースターにしかバプテスマを行なわなかったようです。そして志願者と信徒は全員受難と復活を追体験するためバプテスマの前に断食をしていたそうです。最古の福音書であるマルコ福音書にもパウロの手紙にもイエスの誕生は言及されていませんが、十字架と復活は記載され論じられています。

バプテストの教会は、固定化された「教会暦」「信条」「叙階制度」等を批判しつつ形成されました。それならばなお一層「聖書のみ」を貫きながら、時代に対する福音として、聖書全体が示す「救い」を宣べ伝えなくてはならないでしょう。JK