2023/07/19今週の一言

【4章】

16 そしてナオミはその子どもを取りました。そして彼女は彼女の胸の中に彼を置きました。そして彼女は彼のために養う者になりました。 17 そして彼のためにその住民たち〔女性形〕は名前(を)呼びました。曰く「ナオミに属する息子が生まれました」。そして彼女たちは彼の名前をオベドと呼びました。彼はダビデの父エッサイの父。

 「取りました」は13節「娶る」と同じ単語です(ラカハ)。家父長制に基づきボアズはルツを取り、ナオミもまた長孫オベドを取ります。ボアズとルツとの間の男児をナオミは自分の「養子」としているように読めます。亡夫エリメレクの家名存続を、自らが「養う者」(養母)となって法的に実現しているのでしょう。

 もちろんルツが農園の労働者であり続け、忙しい両親に代わってナオミが育児を一手に引き受けたとも本文は読めます。しかし物語全編は法律や法的手続を重視しています。「その住民たち〔女性形〕」はオベドと命名し、オベドがナオミに属するという法的地位を確認し、家父長制を超えて行きます。ボアズ家・エリメレク家と関係のない匿名の女性たちが養子縁組の成立を確定させているからです。

 オベドという名前の意味は「労働する者」や「礼拝する者」、その両者を含めて「仕える者」などです。ヤハウェ神の礼拝者という意味では、オベドは、養母ナオミの神を自身の神とする実母ルツの決意を継承しています(1章)。労働者という意味では、オベドは父ボアズの畑で労働することで自らを贖う者を見出した母ルツを継承しています(2章)。

ナオミの懐の中にいるオベドの姿は、神の懐の中にいる一人息子イエス・キリストの姿に重なっています(ヨハネ1章18節)。十字架に至るまで仕える者としての生き方をまっとうしたナザレのイエスは、オベドの子孫でもあります。JK