2023/10/04今週の一言

 今回はペトロ。ペトロ(アラム語ケファ)という呼び名は「岩」にちなんだあだ名です。ヘブライ語名シメオン、ギリシャ語名シモンがペトロの本名です。ガリラヤ湖の漁師でした。

 マルコ福音書によるとペトロは漁をしている最中にイエスから召されました(マコ1:16以下)。以来、同居家族の弟アンデレと、妻と妻の母と共に弟子となりました。イエスはペトロを男性十二弟子の筆頭に据えます(同3:16)。

 ペトロは喜怒哀楽の激しい人です(同14:72)。本人は大真面目なのですが、頓珍漢な言動をします(同9:5、ヨハ13:9)。見栄っ張りで大口をたたく割には正念場で自分の約した言葉でさえも反故にしてしまいます(マコ14:31・66以下)。神の前に大きな罪を犯すがゆえに、神の恵みの大きさをよく知る人物です。

 ガリラヤで復活の主に出会ったペトロは、贖罪信仰形成に貢献しました。「イエスはご自身を否定する自分でさえも赦すキリストであり、十字架は罪を贖う逆転装置である」と、イザヤ書53章をもとに論証します。そして「神の国運動」の継承であるキリスト教会をエルサレムで創設し、教会の礎石である「岩」となり(マタ16:18)、その最高指導者となるのです。

 「岩」と呼ばれる割にペトロは頑固なわけでもなく、むしろ身軽に翻る、頭の回転の速い調整者です。ステファノやフィリポを見捨てる一方でフィリポ系列の教会にお世話になったり、サマリア人教会を訪ねたり、アンティオキア教会にバルナバを派遣したり、ローマ人コルネリウスにバプテスマを施したりします(使徒8-12章)。国際派パウロと、ユダヤ民族主義者ヤコブとの間に挟まれ、右往左往してもいますが、逆に両極端をつなぐ仕事もしています(ガラ2:11-14)。

エルサレム教会最高指導者の地位をヤコブに譲った後(使徒15章)、夫婦で共に巡回伝道をしていたようですが詳細は知られていません(コリ一9:5)。JK